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第88号 SG基準が海外の基準とちがうことがあるのはなぜ?(第1回)

 SG基準は、製品が国内でどう使われるか、社会が製品に対してどのような安全性を求めるかを踏まえて制定されます。製品の使い方、及び、社会が製品に求める安全性が国内外で異なるためにSG基準が国際基準や欧米の基準と異なることがある事例を2回に分けてご紹介します。

 まず、国内外で製品の使い方が異なる事例をご紹介しましょう。その一つがベビーカーです。日本では、自宅でも、子どもを連れて行った先の保育所、病院他でも、日に何度もベビーカーを折りたたむことがあります。他方、欧米では、基本的に折りたたまずに使用することが多いです。このため、折りたたむ際の怪我のリスクは重視されていません。しかし、日本では、乳幼児が手指を挟まれる事故が頻発し、あわや指が切断されるというようなことも相次いで発生しました。このため、国民生活センターが調査を行い、製品の改善を求めました(2007年)。これを受けて、SG基準が改正され(2009年)、指はさみをしにくい構造を求めることになったのです。


出典「赤ちゃんの指はさみに注意」:ベビーカー安全協議会ホームページより

 最近は、国内でも、折りたたみをあまり行わないで使うようなケースが増えてきています。そのような場合は、ISOや欧米の基準の適合品で一定の安全性が担保できますが、それでも表示や取扱説明書で適切な使い方を分かりやすく示す必要があります。そうでないと、製品の欠陥とされる可能性があります。SG基準は表示や取扱説明書を一体的にカバーすることから、従来の頻繁に折りたたみをすることが想定される製品とは区別して、このような製品に対して新たなSG基準を制定する作業を進めています。

 このように、SG基準は、国内での実際の使われ方と安全上のリスク、日本社会の要請を考慮して制定されるからこそ信頼性が高いのです。

 次回は、安全性についての要請が国内外で異なる事例についてご紹介します(次回へ続く)。

2023年度