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第119号 中古の抱っこひもは大丈夫?

子どもの成長とともに使うものが変化していく子ども用製品。昔から兄弟姉妹間などでお下がりを使っていくようなことがされてきましたし、現代的には中古品市場での売買も盛んにおこなわれています。SDGsの観点でも良いと言われますが、リユース、リサイクルの側面だけが強調されがちです。しかし、SDGsの中には、「3. すべての人に健康と福祉を」と、「12. つくる責任、つかう責任」も含まれており、これらは製品安全を含んだものです。  

ものを長く大切に使うことは美徳ではありますが、安全性を犠牲にしてしまうと、事故が起こったときに医療費がかかったり通院治療の時間がかかったり、ときには後遺症が残るというリスクも生じます。抱っこひもでは、過去、誤った使い方で乳幼児が落下する事故が頻発し、中には頭がい骨骨折やくも膜下出血を伴う重篤な打撲傷の事例が生じています。抱っこひもは繊維製品ですので、使用することで生地や縫い目が傷んで強度や耐久性が下がり、変形・破損することもあります。バックルの素材も劣化していきます。それらが事故につながるリスクがあります。そのため、SGマークは有効期間を定めており、その期間に生じた製品事故のみを賠償の対象としています。  

中古品として販売されたものであっても、SGマークの有効期間内であれば賠償の対象からは外れませんが、賠償が難しくなる可能性が高まります。なぜなら、中古品の場合は、事故が起こるまでに製品がどのように使用されてきたかがわからず、事故の原因が製品にあったのか、使い方にあったのかの判断が難しくなるからです。また、取扱説明書がついていなかったために読むことができず、それで使い方を誤って事故が生じた場合も賠償されません。  

なお、中古の製品に摩耗や破損、変形などがあって安全上の懸念があるにも関わらず、そのことを明らかにせずに出品・販売し、そのために事故が生じた場合には、出品者・販売者にもその責任が及ぶ可能性があります。中古品を取り扱われる事業者も、取扱説明書も含めて製品に不備が無いよう十分にご注意ください。 

2024年度