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第104号 新SG基準適合の硬式野球用バットの使用開始
3月18日から「第96回選抜高等学校野球大会」が始まりました。
この大会からは、反発性能に関する規定を設けた新SG基準適合の硬式野球用バットの使用が開始されました。
2019年の第101回全国高等学校野球選手権大会において、投手が打球を顔面に受けてほほ骨を骨折するという事故が発生しました。この事故を受けて、日本高等学校野球連盟において、打球の飛び・反発性能に関する検討会が行われ、SG基準での対応が要請されました。
この要請に対応するために、製品安全協会では「打球が早く、野手が危険な状態になっている」ということから、学識者、競技者団体、事業者、検査機関による専門部会を設けて『非木製バットの反発性能に関する規定』に関する審議を開始しました。
この審議の過程においては、全米大学体育協会(略称:NCAA)が求めているBBCOR基準という反発性能規定を調査するとともに、国内で使用されている硬式ボールの反発性能確認、国内に設置したBBCOR試験機による試験、スイングマシーンを用いた実打撃実験や高校野球選手による実打撃試験などの調査研究を行いました。
(国内に設置したBBCOR試験機) (高校生による実打撃実験の状況)
審議の結果、打球部の圧縮試験を行うことにより反発性能を確認することができるとして、「打球部について、先端半径50㎜の円柱間での圧縮試験を行ったとき、1㎜変位させるときの力は6000N 以上であること。」との規定を設けましたが、この規定はNCAAが求めているBBCOR基準と同等の反発性能を求めていることになります。
なお、この規定に適合するためには、従来のバットの打球部の厚みはおおよそ3㎜であったのに対して4㎜程度の厚みが求められることになります。
その結果、打球部の耐久性が格段に向上し、耐久性向上は好ましいのですが、テーパー等の耐久性を上回り、使用に伴う疲労現象により突然に折損してしまう恐れがあり、バットの安全性に対して最も求められる性能である「折損して飛散しないこと」への対応を求めるため、バット先端部に対しての強度を新たに規定し、折損する前に先端部が変形や割れるなどをして、使用限度(製品寿命)を示唆できるようにしました。
また、従来のバットと新基準に適合するものとを見分けるために、バット本体テーパー部にアルファベット4桁で表示してある製造年月の略号の後の表示を「-N」から「-R」に変更しています。
(4桁のアルファベットの後表示が「-N」から「-R」になっている)
2023年度